暖簾という装飾 - 「悪夢で逢えたら」と「Sssnake」
20年以上ギャラリーをやっていて、入口につっぱり棒で暖簾のようなものをつける装飾をしたことはないし、そんなこと想像もしていませんでした。初めてそれをやったのは1か月前の展示「悪夢で逢えたら」でした。こんな感じですね。
ところが、それに影響されたのか、今開催されている「Sssnake」でも暖簾の装飾を採用しています。
2つの装飾は、自らの展示を象徴するようなロゴマークをつけているということは共通しています。しかし、その意図するところは少し違います。「悪夢で逢えたら」は、完全に遮光のため、ギャラリー内の暗めの照明の雰囲気を妨げないように、また、ギャラリーに入ったとき驚きを感じるように備えつけたという感じです。
それに対して「Sssnake」は中が見えるように、短めの暖簾を一番下を160㎝より少し上くらいに設定しています。標準の身長の人ならば十分中が見えるし、背の高いひとは、少し暖簾をめくれば見えます。(実際そういう風にのぞいている人もいました)
双方、違う意味をもたせたところが面白いなと思います。
日本語には、「暖簾に傷がつく」とか「暖簾分け」という言葉があります。それぞれ、暖簾はただの布ではなく、店の品格を感じさせる言葉だと思います。
2つの展示も、くぐって入るところはまさに暖簾だし、作家や展示を大切にするためのものというのも共通しています。
作家さんの発想に脱帽です。雨風対策に気をつけてもらえさえすれば、暖簾の装飾はあり。うん、新しい発見です。
今週の展示は「Sssnake」。書道家 藤朔馬さんとフランスのアーティストWooさんとの、来年の干支「蛇」をテーマにした、書のコラボ展示。いわゆる書の展示とは趣を異にしています。線の美しさを感じてください。百聞は一見にしかず、是非会場でご覧ください。10日まで。